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まなぶ

強靭さの再構築

2016.01.26

昨年の5月末、高浜市で行われた古代米の田植式を観に行った。晴天の中、綺麗に苗が植えられていく光景はとても美しく、私はその様子を急かせかと撮影していた。
数人の男女で田植えを行なっていたのだが、その中でも一人の老婆の姿が強く印象に残っている。
包括的で屈折のない笑顏、当たり前のように田植えを行うその動きに、私は力強さと美しさ、そして神秘的な生命力のようなモノを感じた。

古代前の苗と老婆の笑顏

以前、このような話を聞いた事がある。
若者達がボランティアで何処かの田舎に農作業を手伝いに行って、現地の老人達と一緒に作業をしていた。
一見、若者の方が力強く元気一杯に見えるのだが、若者の腰にはトンボが止まらず、老人の腰の方に止まるといった話である。
「どちらの腰が安定しているか?」トンボ達は、現地の風土に強く根を下ろし生きている老人の背中の方が、安定していると自然に解るのであろう。

老婆の田植え

実際、私もトンボ達の選択が正しいのだろうと思える。世の中が近代化し、物と技術が溢れて便利になった反面、自分自身も含め、人間の感性や精神が脆弱になってしまっている事を多々感じるからだ。
昔の人間は、情報が少なくとも物事の分別、常識等といった生きていく上で大切なモノを、肌で感じ取って解っていたのではないだろうか?私達はそういった大切なモノを忘れてしまったのではないか?古美術品等、遠い過去に表現された物を深々と観ているとそう感じる時がある。
だからこそ、見て聞いて感じ取り、失ったであろう大切なモノを、少しでも回復させ再構築できたらと思っている。

伝統の強靭さ

Camera:Leica M9-P
lens:Summicron 50mm F2.0 Trium Nr.1009031
© Atsuhiro Okada

この記事を書いた人

写真家

岡田 充弘

写真家、一枚の写真から時間と距離、その先にあるナニカを連想させる表現を目指し、風景を中心に様々な瞬間を切り取る。みかわワンダーランドの編集にも携わっている。

http://mikapon.net/gallery/